TSC測定及び解析の目的の一つに活性化エネルギーの算出が挙げられます。Initial rise法はその方法のひとつで、TSCの初期温度領域の急激な立ち上がりを利用する方法です。この温度領域では残留分極量が多く,P(T)=Piと近似できることに注目し,その結果,TSCの原理式は次式のように近似することができます。
ln I(T) ∝ 1/Tの関をプロットすれば,その傾きから活性化エネルギーHが求められます。
材料によっては分極の緩和過程が複数存在し、分布している場合があります。このような場合は昇降温を繰り返しながら緩和時間の短いものから徐々に脱分極をする部分昇温法(Partial heating法)を利用し、得られた一連のTSCについてInitial rise法を使って活性化エネルギーを求めれば、活性化エネルギーの分布を議論することができます。