TSCは一般的には以下のような装置構成となっています。試料の温度をコントロールするための温調装置付の試料室、試料を分極するための直流電源、TSCを測定するための直流微少電流計で構成されています。通常は測定対象試料を2枚の平行平板電極で挟み,コンデンサ構造を形成します。
装置構成は非常に単純ですが、計測する電流がfA(10-15A)レベルに及ぶこともあるため,ノイズ対策がキーポイントとなります。試料室は水分の影響を抑えるために不活性雰囲気もしくは真空中で測定することが多いです。その他にも紫外から赤外領域までの光照射システムを付加することで、光励起により電荷をトラップし、その脱トラップ電流を測定することが可能となります。
測定手順の模式図は以下の通りです。ここでは双極子分極のTSC測定を想定しています。分極(Polarization)過程では試料に電界を加えることによって試料内部に分極を生じさせ、昇温時(脱分極、Depolarizaiton、過程)に分極が緩和する際の電流を観測します。
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実際の測定手順につきましては以下に詳細を紹介します。
電極にて挟まれた試料を準備し、微少電流計と電圧源、光照射装置を備えた温度制御可能な測定容器に試料を取り付けます。
電極界面はTSCシグナルに大きな影響を及ぼすため、試料への電極作製には十分配慮してください。
入手したい情報に対応する測定試料毎のプログラムを準備します。
プログラムには通常、次のようなステップが含まれます。
Step1. 測定前処理 → Step2. 冷却 → Step3. 保持 → Step4. トラップ → Step5. TSC測定 → Step6. 測定後処理